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意匠90% vs 設備59%の格差をどう埋める?荏原製作所が実践する顧客起点のBIMマーケティング

26.10.15

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設備BIM推進のボトルネックを打破する「メーカー純正BIMデータ」の戦略的価値

日本の建設業界において、BIM(Building Information Modeling)を活用したDXは急速に進展しています。しかし、その実態を俯瞰すると、看過できない差が存在しています。

【設備BIM導入の現状と業界課題】

国土交通省調べ(令和7年1月「建築分野におけるBIMの活用・普及状況の実態調査」より)
 ・意匠設計でのBIM導入率: 90.0%
 ・設備設計でのBIM導入率: 59.0%

意匠設計の導入率が9割に達する一方、設備領域はおよそ2/3の水準に低迷しています。この遅れの主な原因は、建築設備の基幹をなす「高品質な機器オブジェクト(メーカー純正BIMデータ)」の国内流通量の圧倒的な不足にあります。これが、建設サプライチェーン全体のDX推進を阻害する構造的なボトルネックとなっていました。


建設業界に今求められているのは、コンピューター上にただ3D形状を配置するだけの「カタチだけのBIM」からの脱却です。例えばポンプ設備の検討において、真に実務で機能するBIMデータには以下の要素が不可欠です。
 ・正確なジオメトリ(3D形状)と機器・配管の接続位置
 ・流量・揚程・消費電力・質量などの「属性情報(メタデータ)」
 ・基礎工事に必要な「アンカーボルト位置」
 ・設置後の保守・点検作業を担保する「サービススペース(メンテナンス空間)」


従来の2D図面や紙のカタログに依存したプロセスでは、スペックの転記ミスや空間の検討不足が頻発していました。その結果、施工段階に入ってから「配管の干渉」「保守スペースの不足」「搬入不能」といった重大な手戻りが発生し、工期遅延やコスト超過を引き起こしていました。
製造メーカー自らが精度と整合性を保証した「メーカー純正BIMデータ」を計画初期段階から投入することは、こうした手戻りを劇的に排除するフロントローディング(初期工程での集中的検討)を実現します。
では、国内有数の産業機械メーカーである株式会社荏原製作所は、どのような設計思想でこの課題を解決しているのか。その高度な技術的アプローチを紐解きます。

荏原製作所が実現した「軽量化」と「高詳細」の両立:パラメトリック化がもたらす圧倒的な時短効果

「多様な関係者と対話する中で見えてきたのは、BIMは手段であり、立場やフェーズが変われば求める目的どころか『使われる言葉』ですら異なるという現実です。
設計では『属性データ』、施工では『納まり』、維持管理では『LCC/省エネ最適化』と、課題は断片化しています。
この分断に対し、単に3Dデータを配るだけでは実務の解決になりません。業界標準としての『協調領域』を整備しつつ、ユーザー個別の利活用に応える『競争領域』の付加価値をどう生み出すか。当社の別事業でのDX知見も掛け合わせ、単なるデータ提供にとどまらない『選ばれるパートナー』を目指しています」 (株式会社荏原製作所 担当者)

このように現場の分断を痛感していた同社ですが、設備メーカーがBIMデータを提供する際、最も高い技術的ハードルとなるのが「データ容量の軽量化」と「実務に必要な詳細度(LOD/LOIN)」のトレードオフです。
機器を精緻に作り込みすぎればファイルが肥大化し、設計者のBIMソフト(Autodesk Revit等)の動作を重くしフリーズの原因となります。逆に軽くしすぎれば、現場の納まり検討に耐えられません。
荏原製作所は、このジレンマを高度なデータ設計によって見事に解決しています。

パラメトリック構成による「ストレスフリー」な操作体験

荏原製作所が提供するRevitファミリ(.rfa形式)の最大の特長は、1つのファイル内に多様な口径や仕様バリエーションを内包させた「パラメトリック構成」を採用している点です。
従来は、口径(40A、50Aなど)や出力が変わるたびに、設計者はWebサイトに戻り、該当する個別ファイルを再検索・ダウンロードし直す必要がありました。しかし荏原製作所のデータなら、わずか1つのファイルを読み込むだけで、Revitのプロパティ画面から複数サイズ・仕様を瞬時に切り替えることが可能です。
設計者の「探す・ダウンロードする」という無益な手戻り時間をゼロにし、本来のエンジニアリング検討に集中できる環境を提供しています。

ライフサイクル全体を繋ぐ架け橋:フェーズ別BIMデータ活用マトリクス

建築プロジェクトにおいて、設計・施工・維持管理の各フェーズは、使用するツールやデータの目的の違いによる「分断」に悩まされてきました。荏原製作所のBIMデータは単なる3Dモデルではなく、ライフサイクル全体を貫く「統合データベース」として機能し、部門間のギャップを埋める架け橋となります。
株式会社荏原製作所様へのヒアリングと、パートナー企業でありプロジェクトモデルの作成に知見のある株式会社ブリエ様にご協力いただき、マトリクスにまとめました。
本プロジェクトにご協力いただいたパートナー様のご紹介および詳細は、こちらのページをご参照ください。

【フェーズ別 BIMデータ活用マトリクス】

利用フェーズ 現場が抱える課題(Pain) BIMデータが提供する解決策(Solution)
 設計

・仕様変更に伴う配置や干渉の再検討が煩雑

・図面だけでは実際の寸法や必要スペースが掴めない

・正確な寸法

・接続位置を反映した高精度な配置検討

・豊富なパラメータによる機器情報の確認

・集計の自動化 ・配管等との干渉や保守スペースの3D視覚化

 施工

・搬入経路、設置スペースの事前確認が困難

・現場での位置出しや接続位置の確認に手間がかかる

・3Dモデルを用いた搬入・設置

・干渉の確実な事前シミュレーション

・モデル上の情報から、図面や数量拾いへの展開を効率化

 維持管理

・点検周期や機器仕様の個別管理が煩雑

・部品交換時の作業スペースや搬出経路が不明確

・機器情報(型式、メーカー、設置年月等)の一元管理

・点検・交換に必要な作業スペースの3D確認

・既存設備との接続条件の可視化による改修計画の支援

 関係者間調整

・意匠/構造/設備間の納まり確認が難しい

・2D図面では関係者間で完成イメージを共有しづらい

・事前干渉チェックによる施工前の問題抽出と早期調整

現場の声を反映した「IFCデータ」追加:マルチフォーマット戦略がもたらしたエンゲージメント15%増

日本の設備施工現場(特にサブコンの施工図作成)では、Revitだけでなく、Rebro(レブロ)やTfas(ティーファス)といった日本特有の設備専用CADシステムが圧倒的なシェアを持っています。
そのため、メーカーがRevit専用形式のみでデータを提供していると、「環境がないため直接使えない」「設備CADに取り込むとデータが化ける」という切実な声が現場から上がっていました。

現場の不満を解消した戦略的「IFC対応」

荏原製作所は、BIMobjectのコメント機能や顧客との対話を通じて、最前線を担うサブコン事業者からの生の声を克明に吸い上げました。そして2026年春、オープンBIMの国際標準規格である「IFC形式データ」の追加提供に即座に踏み切りました。
これは単なるファイル変換ではありません。設計(Revit)と施工(設備CAD)の間に立ちはだかっていた「ソフトウェアの壁」を取り払い、サプライチェーン全体で同一の製品情報をシームレスに流通させるという、確固たるユーザーファーストの表れです。

エンゲージメント約15%増加が実証する顧客の支持

このIFCデータの追加提供により、日本国内における荏原製作所データへのユーザーエンゲージメント(ダウンロード割合および活用率)が約15%も増加するという顕著な結果をもたらしました。
ネイティブツールに縛られない「オープンなマルチフォーマット戦略」こそが、実務者からの強い信頼を獲得し、設備BIMを現場に定着させる最大の鍵であることを証明しています。

製品単体から「空間・ライフサイクル」視点へ:BIMobject Japanが見据える次世代のBIM活用

これまでの設備BIMは、必要な機器を「点」として配置していくアプローチが主流でした。しかし、これからの建設DXにおいて求められるのは、製品単体ではなく、機械室や設備スペース全体を見渡す「空間(面)」としての視点です。
機器がどのように納まるかだけでなく、搬入出の動線、保守点検時の作業スペース、さらには他設備との干渉といった要素を総合的にシミュレーションすることが、プロジェクト全体の最適化に直結します。
BIMobject Japanでは、この次世代のニーズに応えるべく「Space Collection Project」を展開しています。これは、単にメーカー製品の3Dデータを提供するだけでなく、それらを最適に配置した「空間モデル」そのものを提供する取り組みです。設計者はゼロから機械室をモデリングする膨大な手間を省き、即座に高度なエンジニアリング検討に移行することが可能になります。
さらに、私たちの視座は「建物のライフサイクル全体」へと向かっています。世界的にカーボンニュートラルへの対応が急務となる中、今後はBIMオブジェクトにCO2排出量やリサイクル率といった「環境データ(LCA:ライフサイクルアセスメント)」を組み込むことがスタンダードになるでしょう。
製品データに環境情報を付与することで、設計・施工の効率化にとどまらず、施設運用時のエネルギーマネジメントやESG投資に直結するサステナビリティ対応までをシームレスに支援できるプラットフォームへの進化を目指しています。

建設DXを加速させる第一歩:メーカー純正BIMデータの無料ダウンロードと共創のお願い

株式会社荏原製作所が推進するBIMデータ戦略は、単なるデジタルファイルの無料配布ではありません。「深刻な人手不足」「生産性の低迷」「後工程での手戻り」といった建設業界の構造的課題を、データとエンジニアリングの力で根本から解決しようとする真の「建設DXイノベーション」です。
設計から施工、維持管理へと知見を循環させる「メーカー純正BIMデータ」は、貴社のプロジェクトの生産性と品質を飛躍的に高める強力な武器となります。

【今すぐ使える!無料ダウンロードのご案内】

荏原製作所が提供する高品質なRevit/IFC形式のBIMオブジェクトは、BIMobject®上の専用ページから今すぐ無料でダウンロードしていただけます。
BIMobjectへの会員登録(無料・所要時間約1分)のみで、すべてのデータへ即座にアクセス可能です。ぜひその精度と操作性をご体感ください。

データ配置イメージ

【実務者の皆様へ:フィードバック・共創のお願い】

BIMobject Japanでは、実際の現場でBIMデータを使用された実務者の皆様からの「生のフィードバック」を心よりお待ちしております。
 ・「この機種のデータをもっと追加してほしい」
 ・「IFCデータを設備CADで読み込んだ際、納まり検討でこんな効果があった」
 ・「保守用にこんなパラメータ項目を追加してほしい」
皆様の声が、より使いやすいBIMデータの拡充と、ひいては建設業界全体のアップデートに直結します。現場ならではのリアルなご意見をお寄せいただき、ともに業界の未来を創り上げていきましょう。