ブログ

BIMobjectサイトの「EPD」とは?- 持続可能な製品評価とその重要性

24.11.19

本記事はこのような方におすすめです

  • 環境に配慮した建材や製品を選びたいと考えている建設業界の方
  • EPD(環境製品宣言)について理解を深めたい方
  • CSRやサステナビリティを推進するメーカーの担当者やPR担当者
  • 製品情報の信頼性を高めるため、製品の環境への影響を明確にしたいと考えているメーカー担当者

はじめに:BIMobjectとEPD情報の連携について

BIMobjectは、建築設計や建設業界向けのデジタルプラットフォームであり、製品情報とともにCO2排出量などのEPD情報を掲載できることが特徴です。
この特徴によって、設計者や建設関係者は環境配慮を考慮した製品選定がしやすくなり、BIMobjectとEPDの統合が”サステナビリティ”な建築設計の手助けになると考えています。

EPDの役割と意義

近年、環境問題への関心がますます高まる中、建築業界においても ”サステナビリティ” が重要なテーマとして取り上げられています。こうした背景から、環境に配慮した製品を選ぶための判断材料として「EPD(環境製品宣言)」の導入が注目されています。

EPDは、製品が環境に与える影響を透明かつ科学的に示す文書であり、製品のライフサイクル全体を評価の対象にしています。

本記事では、EPDの仕組みと作成の流れ、効率的な作成方法、EPDの有効な活用手段について詳しく解説します。

EPD(環境製品宣言)とは?

EPDの概要と目的

EPD(Environmental Product Declaration、環境製品宣言)は、製品のライフサイクル全体における環境負荷を定量的に示した文書です。国際規格ISO 14025に基づいて作成されており、製品の生産から廃棄までに生じる環境影響が網羅されています。

この文書により、異なる製品の環境負荷を客観的に比較できるため、"サステナブル" な製品選びを支援する重要なツールとなります。

EN 15804とは?- EPD作成に不可欠な製品分類のルール

EPDは製品カテゴリごとに異なる評価基準を用いて作成されますが、特に建材などの分野においては、EN 15804という規格が使用されます。

EN 15804は、欧州で広く採用されている建築資材用の環境評価規格であり、製品のライフサイクル評価(LCA)を統一された基準に基づいて行うためのルールを提供しています。この規格により、建築資材の環境負荷の定量的評価が標準化され、製品間の信頼性の高い比較が可能になります。

EPDを通じて、建材の環境影響を正確かつ公平に評価することで、持続可能な資材の選択が推進されています。

EPDの必要性 - 持続可能性評価の指標としての役割

環境意識の高まりとEPDの重要性

世界中で環境意識が高まる中、企業や消費者は"サステナビリティ"を重視した製品選びを行うようになっています。

特に建築業界では、建築物が与える環境負荷が長期的に大きいため、環境に配慮した材料選びが不可欠です。

この点で、EPDは製品ごとの環境影響を分かりやすくかつ科学的に示す重要なツールであり、信頼性の高い情報提供手段として注目されています。

EPDの役割 - 環境配慮型製品の選定サポート

EPDを通じて提供される情報は、建材メーカーや施工業者、不動産所有者にとって非常に有益です。

EPDの数値データに基づき、異なる製品間での環境負荷を比較することで、より"サステナブル"な建築プロジェクト計画が可能になります。

また、環境配慮型製品の選定をすることは、企業の社会的責任(CSR)を果たす一環としても重視されており、EPDがその基準となります。

EPD作成の流れ - 手順と必要なプロセス

  1. データの収集
    EPD作成の第一歩は、製品に関する基本データの収集です。ここでは、原材料の調達地や加工工程、製品のエネルギー消費、廃棄時の処理方法などの詳細情報を集めます。この段階でのデータの正確さが、EPDの信頼性に直結するため、各プロセスでの影響を十分に把握し、広範囲に収集することが重要です。
  2. ライフサイクルアセスメント(LCA)の実施
    データ収集が終わると、次にライフサイクルアセスメント(LCA)を行います。LCAでは、製品のライフサイクル全体において発生する温室効果ガス排出量、水資源の消費、その他の環境負荷を評価します。この評価により、製品の環境負荷の実態が科学的に明らかにされ、EPDの基礎となる情報が得られます。
  3. 第三者機関による検証
    LCAが完了した後、第三者機関による検証を受けることで、EPDの信頼性が保証されます。ISO 14025では、EPDが公正で透明性の高いものであることが求められており、独立した中立な認証機関の評価が不可欠です。これにより、EPDの内容が信頼性が確認できます。
  4. EPDの公開
    第三者機関の検証を経て、最終的にEPDが公開されます。公開方法は製品の特性や対象ユーザーによって異なりますが、製品ごとの情報が簡単にアクセスできるような形式が推奨されています。EPDの公開によって、製品の環境影響が広く周知され、透明性が向上します。
    日本でのエコリーフ(2024年4月以降「SuMPO EPD」へ改名)も、国際的なEPDの基準に沿って、製品の環境への影響をわかりやすくまとめて公開するものです。ただし、日本向けに設計されているため、特に国内市場や企業のニーズに応える形で運用されています。この仕組みのおかげで、日本製品の環境情報が国内外でも広く理解されやすくなってきています。
    SuMPO EPD公式サイト

効率的なEPD作成のポイント - コストを抑えた戦略のコツ

柔軟なライフサイクル評価モデルの構築

"サステナビリティ"を実現するためには、ライフサイクル評価モデルを柔軟に設計することが重要です。

工場の変更やサプライチェーンの見直しが発生した際に、迅速に対応できるモデルを用意しておくことで、無駄な手戻り作業を減らし、EPD作成のスピードと効率を上げることができます。

全体を見据えた製品管理

複数の製品をまとめて評価する際、まず最初に最適な製品区分を設定し、一括で管理することで手作業の手間を大幅に削減できます。

またこの方法により、将来に更新が必要になった時にも柔軟に対応ができ、長期的なコスト削減にもつながります。

EPDの有効活用を見据えた公開手法

EPDを有効活用するためには、関係者全員が簡単にアクセスできる形式で公開することが求められます。

例えば、製品ごとのEPDを作成するだけでなく、同系統の製品をまとめて1つのEPDにする方法もあります。

BIMobjectでEPDやCO2排出量の情報を提供するメリット

製品情報にEPDやCO₂排出量を追加することにより、メーカーはBIMobjectを通じて環境配慮型の製品を求める設計者にアピールしやすくなります。

BIMobjectのフィルタ機能を活用することで、設計者は環境情報に基づいた製品を検索できるため、"サステナビリティ"に配慮したプロジェクトへの採用が期待できます。

またメーカー側にとっても、環境情報を示すことでブランド価値が高まり、競争力アップが見込めます。

お問い合わせ:BIMobjectについて

BIMobjectに関するご質問やEPD掲載に関するお問い合わせがある方は、
下記メールアドレスもしくは問い合わせフォームへお気軽にご連絡ください。

BIMobject(日本サポート:野原グループ株式会社)
メール:japan@bimobjcet.com
お電話:03-6328-4548