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BIMデータの可能性を拡張する「Space Collection Project」とは

25.09.04

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製品単体から「空間提案」へ、BIMデータの可能性を拡張する新たな試み

建築やインテリアの設計において、製品そのもののスペックや意匠性もさることながら、最終的には「空間」としての完成度が求められます。設計者やデザイナーにとって重要なのは、製品をどのように組み合わせ、空間全体としてどのような価値を創出できるかという視点です。

これまでBIMobjectでは、建材や家具など製品単体のBIMデータを提供することに重点を置いてきました。しかし今、そうした従来のアプローチから一歩進み、製品を「空間」として捉え、利用シーン全体を提示する新たな取り組みをスタートさせました。
それが、「Space Collection Project」です。

本記事では、本プロジェクトの目的や提供内容、そしてその背景にある我々の思いについてご紹介します。

Space Collection Projectの概要と狙い

1. プロジェクトの背景と着想

「Space Collection Project」は、BIMobject Japanが進める新サービスです。これまでのような製品単体の掲載ではなく、製品のコンセプトに沿って空間全体に配置し、そのまま一括でダウンロードできる形式のBIMデータを提供します。

この取り組みの背景には、海外での成功事例があります。BIMobjectタイにおいて、空間単位での見せ方を導入したところ、ユーザーの関心度やデータの活用率が大幅に向上しました。製品を単体ではなく、「空間における使われ方」として可視化することが、ユーザーにとってより魅力的で実用的な情報提供になることが明らかになったのです。

このアプローチを日本市場にも適用し、より直感的な製品提案を可能にする。それがSpace Collection Projectの狙いです。

2. 公開されたスペースモデルの内容

本プロジェクトでは、現在3つの空間タイプ──レジデンシャル(住宅)、オフィス、レストラン──のスペースモデルが公開されています。各空間は、特定のコンセプトに基づき、参加メーカーの製品を実際の使用シーンに近い形で配置。製品の魅力が空間の中でどう活きるかを視覚的に把握できる構成となっています。
ユーザーはBIMobjectの専用ページから、これらの空間モデルを一括でダウンロードすることが可能です。設計提案やプレゼン資料への活用にも適したデータ形式で提供されており、設計初期段階からの活用が想定されています。

3. ユーザーにもたらす主なメリット

Space Collection Projectの導入により、ユーザーにとっては以下のようなメリットが期待されます。

■ 直感的で魅力的な製品体験

空間単位で製品が紹介されることで、利用シーンを具体的にイメージしやすくなり、提案内容の理解度も向上します。特に、施主や非専門家に対しても説得力のあるビジュアル提示が可能です。

■ 設計提案の効率化

空間全体のモデルをまとめて活用できるため、製品選定や配置の手間を省きながら、コンセプトに沿ったデザイン案を短時間で構築できます。これは、実務レベルでの設計スピード向上にもつながります。

■ 「プロジェクトへの追加」につながる活用促進

製品が空間の中でどのように活かされるかが明確になることで、ユーザーがプロジェクトでの採用を前向きに検討しやすくなります。メーカーにとっても、製品の訴求力を高める新たなチャネルとして期待できます。

空間で伝える、設計と製品の新しい関係

Space Collection Projectは、単なるBIMデータの提供にとどまらず、「空間」としての価値を設計者・デザイナーに届ける新たなソリューションです。製品単体では伝えきれなかった魅力や可能性を、空間という文脈の中で表現することで、より質の高い設計提案や導入検討が可能になります。

今後は、ユーザーのニーズや反響をもとに、さらなる空間タイプの拡充や機能の強化を予定しています。BIMobject Japanが提案するこの新たな試みに、ぜひご注目ください。