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建設BIMの浸透と実務定着の現在地

26.01.29

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今回は、国土交通省から発表されている「建築分野におけるBIMの活用・普及状況の実態調査(令和7年1月)」 の結果を読み解いていきたいと思います。
BIM(Building Information Modeling)と言えば、ここ数年「建設DXの切り札」として大きく取り上げられることが多いですが、実際の現場での浸透具合はどうなのでしょうか。
今回のデータからは、「業界の標準的なインフラとして、淡々と、しかし着実に定着し始めている」というリアルな現在地が見えてきました。

数字で見る「着実な」変化

まず、最も基本的な導入率の変化を見てみましょう。 令和4年度の調査では48.4%だったBIM導入率は、令和6年度には58.7%へと上昇しました。約2年間で10ポイント強の増加です。「爆発的な急増」という表現は当てはまらないかもしれませんが、半数を超える企業がBIMを導入するフェーズに入ったという事実は、BIMが一過性のブームではなく、実務に必要なツールとして確実に選択され続けていることを示しています

出典:国土交通省「建築分野におけるBIMの活用・普及状況の実態調査<概要>(令和7年1月 国土交通省調べ)」

2. 「大手・都心」から「専門・地方」へ広がる裾野

今回の調査結果で特に興味深いのは、数字の伸びの中身、つまり「誰が使い始めているか」という点です。かつては大手ゼネコンや組織設計事務所が中心というイメージがありましたが、その裾野は静かに広がっています。

出典:国土交通省「建築分野におけるBIMの活用・普及状況の実態調査<概要>(令和7年1月 国土交通省調べ)」

専門職種への浸透: 総合建設業だけでなく、意匠・設備・積算といった専門設計事務所や、専門工事会社においても導入率が前回調査より5ポイント以上向上しています。

規模と地域の広がり: 従業員数100人以下の企業や、大都市圏(東京・愛知・大阪)以外の地域でも導入率が上昇傾向にあります。

企業規模や地域による「BIM格差」は依然として存在するものの、その差は少しずつ埋まりつつあるようです。

3. 「モデルを作る」から「データをつなぐ」へ

導入したBIMをどう使っているか、という点でも変化が見られます。 社内での活用にとどまらず、設計者と施工者、あるいは施工者と協力会社間など、社外とのデータ連携を行うケースが増えています。また、BIM導入のメリットとして「手戻りや調整の減少によるプロジェクトの円滑化」を挙げる声が増加しました。 これは、「きれいな3Dパースが描ける」といったプレゼン的な効果よりも、「現場の手戻りを減らす」という生産性向上・実務効率化の側面でBIMの価値が再認識され、地に足のついた活用が進んでいる証拠と言えるでしょう。

出典:国土交通省「建築分野におけるBIMの活用・普及状況の実態調査<概要>(令和7年1月 国土交通省調べ)」

今後の展望

現在BIMを導入していない層においても、約55%が「3年以内の導入予定」または「導入への興味」を示しています。

一方で、未導入の理由として「現状のCADで業務が回っている」という声も根強くあります。無理に導入を急ぐのではなく、費用対効果が明確になった段階や、テレワークなどの働き方改革とセットで導入を検討するという、冷静な姿勢もうかがえます。

まとめ

今回の調査結果を総括すると、建設業界におけるBIMは、特別な先端技術という位置づけから、「あって当たり前の共通言語」へと、その立ち位置を静かにシフトさせているように感じます。

派手なニュースにはなりにくいですが、こうした着実な歩みこそが、業界全体の生産性を底上げしていくのかもしれません。


出典:国土交通省「建築分野におけるBIMの活用・普及状況の実態調査<概要>(令和7年1月 国土交通省調べ)」

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001876975.pdf