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BIM連携の鍵「IFCデータ」とは?基礎知識からメーカー側の導入メリットまで徹底解説
26.04.15

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入が加速する建築業界。その中で、異なるソフトウェア間の連携をスムーズにする「共通言語」として注目されているのが「IFCデータ」です。
「名前は聞いたことがあるけれど、具体的にどんな役割があるのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。本記事では、IFCデータの基礎知識から、具体的な活用シーン、そして建材・設備メーカーが導入するメリットについて詳しく解説します。
1.IFCデータの意味と「共通言語」としての必要性
そもそもIFCが何の略称で、何を意味するのかを整理しましょう。IFCとは「Industry Foundation Classes」の頭文字をとった言葉です。
- I(Industry): 建設業界
- F(Foundation): 共有プロジェクトモデルの基礎
- C(Classes): 合意のもとに構築するための共通言語としてのクラス
つまりIFCとは、建物を構成するすべてのオブジェクト(ドア、窓、壁、柱など)をデジタル上で表現するための「世界共通の仕様」です。建築業界におけるBIM図面の出力データとして、国際規格(ISO 16739)にも定められています。
なぜ「共通言語」が必要なのか?
建築プロジェクトには、設計・構造・設備・施工といった多岐にわたる部門が関わりますが、それぞれが異なるBIMソフトを使用しています。特定のソフトに依存した独自形式のままではデータのやり取りが非常に困難です。そこで、IFCという共通形式で書き出すことで、ソフトの壁を越えてデータを開き、閲覧・共有することが可能になります。
2.「形」だけじゃない!IFCデータが保持する情報の正体
ここで重要なのは、IFCデータが単なる「3Dの線や面の集合体」ではないという点です。IFCファイルには、形状以外にも以下のような詳細な情報が含まれています。
- 幾何情報: 高さ、幅、厚みといった寸法
- 属性情報: 材質、用途、性能、型番など
- 構造情報: 空間・階層構造(どの階のどの部屋にあるか)
- オブジェクトの性質: 「自分はドアであり、どこにヒンジ(丁番)があるか」といった自己認識情報
このため、あるソフトで作られた「ドア」を別のソフトで開いても、自動的に「ドア」として正しく認識されます。
注意点: > 紙の図面のような「寸法線の表示」など、見せるための表現までは含まれない場合があります。プレゼン資料などを作成する際は、受け取り側のソフトでの微調整が必要になることがあります。

3.具体的な活用シーンと行政の動向
IFCデータは、プロジェクトのあらゆるフェーズで力を発揮します。
部門間の合意形成:
- 設計者が作成したデータを、設備担当や施工管理者がそのまま同じ「オブジェクト」として扱えるため、意図の誤解や情報の抜け漏れを防ぎます。
施工現場と保守管理:
- 設計段階の情報が、施工やその後の「維持管理(ファシリティマネジメント)」まで受け継がれます。建物のライフサイクル全体でデータを再利用できるのが、IFC活用の真髄です。
行政手続きのデジタル化:
- 近年、国土交通省が進める「建築確認手続きのデジタル化」において、IFCファイルを活用した3Dモデルでの申請が検討されています。今後、公的な手続きにおける標準形式として、さらに重要性が高まっていくでしょう。
4.建材・設備メーカーがIFC対応を急ぐべきメリット
製品データをIFC化し、BIMプラットフォームで流通させることは、メーカーにとって大きなビジネスチャンスにつながります。
① あらゆるBIMユーザーへのリーチ
現在、国内では「Revit」「Archicad」「GLOOBE」など多様なソフトが使われています。IFC形式で製品データを提供すれば、設計者がどのソフトを使っていても自社製品をインポートできるため、採用のチャンスが飛躍的に広がります。
② 信頼性の向上と長期的な活用
設計段階で組み込まれた製品データは、積算、施工、維持管理のフェーズでも参照され続けます。一貫したデータとして建物とともに管理され続けることは、メーカーとしてのブランド信頼性向上に直結します。

5.自社製品の普及に向けて何から始めるべきか?
「これからBIMデータの提供を強化したい」と考えているメーカーは、まず以下のステップから始めてみてはいかがでしょうか。
情報の整理: 設計者が本当に必要としている寸法、材質、性能データを精査する。
運用ルールの整備: ソフトごとの見え方の違いを検証し、データの出力・読み込みテストを行う。
プラットフォームの活用: 自社サイトでの公開に加え、「BIMobject」のような世界的なプラットフォームを活用し、露出を増やす。
建築業界のデジタル化は、今後ますます加速します。質の高いIFCデータを提供することは、これからの時代に「選ばれるメーカー」になるための第一歩となるはずです。
出典:
•2026年春、建築確認におけるBIM図面審査を開始! | 国土交通省
・BIM/CIMの進め方について(第11回 BIM/CIM推進委員会 資料1)(令和6年2月22日) | 国土交通省
・IFCとは? | 一般社団法人 buildingSMART Japan
